和彫りの名品 解説
こくしつにじゅうはちけんあこだなりすじかぶと
黒漆二十八間阿古陀形筋兜
- 室町時代 15世紀
- 京都国立博物館
画像出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)を加工して作成
筋兜(すじかぶと)は、兜本体(鉢)を形成する鉄板を接ぎ留める鋲(星)を見せず、鉄板の縁を捩り立て接ぎ目を筋状に立てたものである。日本の鎌倉時代後期から南北朝時代頃に発生した。平安時代に使われた、鋲頭が大きい鋲を使う星兜と違い、頭が平らな鋲を使って鉢の鉄板をつなぎ合わせている。
星兜に比べて軽快・軽量かつ、製作が簡易であるため、徒歩武士の胴丸・腹巻に付く兜として用いられた。後には大鎧にも用いられるようになった。
28間の筋にはすべて鍍金の覆輪(※1)をかけ美麗に装っている。時代が下るにつれ、より高度な製作技巧を必要とする、筋の数の多い筋兜も増えていった。当初は二十数枚であったが、やがて六十数枚が一般的になる。
室町時代には、阿古陀形(あこだなり)という後頭部が膨れ上がった南瓜様の筋兜が流行した。頑丈さに欠けたため戦国期には衰退したが、以降の筋兜にその影響を残した。