地彫りの作品
くもからくさもん けい
四分一(しぶいち)の地金を使用した磬(けい)です。四分一とは、四分の一が銀、四文の三が銅の地金のことをいいます。磬(けい)は、読経(どきよう)の際に打ち鳴らす仏具で、左右上部の穴に紐を通して吊り下げ、中心の丸く平らな面を打ち音を出します。
中心の平らな円部分の周りに12枚の花弁を施し、それを囲むように、唐草風の文様を付け、内側に魚々子地を打っています。中心部からほぼ左右対称に広がるように、宝相華唐草を雲アレンジした紋様を地彫りでつくり、地金面には梨子地を施しています。梨子地は、梨の実の表皮に似ることからそう呼ばれています。
地彫りの技術はもちろんですが、左右対称にバランスをとりながら、形と意匠を組み立てることも職人の仕事です。